0や00のウキを使った全層沈め釣り(ロングハリス釣法,1000釣法,全層釣法)ですが,
やってみたのはいいものの,
思うような釣果が上がらなかった・・・
という方も少なくないと思います。
全層沈め釣りは,
様々な状況にアジャストできる釣り方ではありますが,
仕掛けの微調整を怠ると釣果が出ない釣り方になってしまいます。
以下の記事で,全層沈め釣りの仕掛けについて説明しました。
しかし,その具体的な釣り方,
魚へのたどり着き方を説明していませんでした。
この記事では,
全層沈め釣りの具体的な釣り方
仕掛けの調整法を説明します。
この記事を最後まで読んで,
厳しい状況でも魚にたどり着くことができるようになりましょう!
目次
徹底解説!仕掛け調整の判断 7パターン
では本題です。
魚にたどり着くための仕掛けの具体的な調整法について説明します。
なお,7つの項目がありますが,
これらは全層沈め釣りでなくても
応用が利く内容が詰まっていますので,
ぜひ最後まで読んでみてください。
ウキが浮いてしまうときの2つの対処法
ウキが浮いてしまうと,
全層沈め釣りにはなりません。
浮いてしまうということは浮力が強すぎる
ということなので,
2つの方法でオモリを追加します。
バランサーをウキに貼ってウキの質量を大きくする
キザクラのK’sバランサーをウキに張り付けて
ウキの質量を大きくします。
バランサーを貼るとウキの余浮力が小さくなるので,
ハリスにガン玉を打たなくてもウキが沈むようになります。
ハリスにガン玉を打たないので,
糸と針の重さだけで仕掛けを海中にただよわせて(フカセて)
魚に違和感なく食わせることができる対応法です。
フカセ釣り本来の軽い仕掛けを意識した調整法です。
ハリスにガン玉(ジンタン,シズ)を打つ
ガン玉を打つことによって仕掛けが重くなるため,
ウキは沈んでいきます。
ただし,ガン玉を打つことによって,
ハリスがガン玉を起点に折れてしまう可能性,
仕掛けが立ってしまう可能性があります。
重いガン玉であればあるほどその影響は大きくなります。
実際に,私が現場で使うガン玉の割合をざっくり数値化すると,
G6が70%,G5が20%,G7が10%といった感じになります。
私の感覚では,
G6以下のガン玉では食いに影響を与えることは
ほとんどないと考えています。
『重くしたい!』と感じたときには
すぐにG6を1つ打つようにしています。
ガン玉を打つ位置
ガン玉に関しては打つ位置も重要です。
針のすぐ上だと仕掛けの馴染みは極端に良くなり,
仕掛けが立ってしまいます。
一方,ウキのすぐ下だと,
ハリスと針をただよわせる(フカセる)ことができます。
ケースバイケースではありますが,
ガン玉の影響力を大きくしたいなら下,小さくしたいなら上,
迷ったらハリスの真ん中に打つようにしています。
結果的に,真ん中に打って状況に応じて上下にずらしていることが多いです。
ウキの沈む速度が速すぎるときの2つの対処法
ガン玉やバランサーがついていないとき
ゼロピットDVCなどのウキでない限り,
ウキの浮力を大きくすることはできないので,
原則同じウキで,浮力が大きいものに交換します。
キザクラの例:00⇒0シブ,0シブ⇒0など
釣研エイジアマスターピースの例:04⇒03,03⇒02,02⇒01など
シマノ ゼロピットDVCの例:ドライバーでねじ(DVCシリンダー)を左に回す(ねじを緩める方に回す)。
シマノのゼロピットDVCは
非常によく考えられた商品だと思います。
これは,浮力が生じる原理を利用しています。
詳しくはシマノのHPをご確認ください。
アルキメデスの原理は,「水中の物体が受ける浮力は,その物体が押しのけている水の重さに等しい」という物理法則です。
水の比重が大きくなると,浮力が大きくなるのはこの性質のためです。例えば,死海では,塩分濃度が30%もあり水がとても重いです。人が死海に入ると,水の上に浮かんで新聞を読めるほどの浮力を得ることができます。
ゼロピットDVCの質量は不変です。しかし,ウキの体積をねじで調節することで,得られる浮力の大きさを調節することができます。
00や0のゼロピットは人気商品で在庫がなくなることもあるようです。
ガン玉やバランサーがついているとき
単純にガン玉,バランサーを外せば仕掛けが軽くなるので,
ウキの沈む速度を遅くすることができます。
また,ガン玉の位置を上にずらせば
針が落ちていく速度が遅くなるため,
馴染むのに時間がかかるようになります。
ガン玉の位置をずらすだけでも,
大きな効果が期待できるということです。
波・風が出ているとき
磯釣りに波や風はつきものです。
波・風の対処法は必ず考えておきましょう。
波や風がでてくると,仕掛けは不安定になります。
道糸は波や風にあおられて仕掛けを引っ張ってしまいます。
したがって,波・風が出てきたときには,
仕掛けを重くして安定感を増すようにしないと,
海中の潮に馴染ませることができません。
波の対処法
波が上がってくると,サラシが大きくなります。
サラシは本来の潮とは異なる流れを生み,
主に表層の潮の流れをぐちゃぐちゃにします。
こういう場合,表層に仕掛けを置いておくと釣りにならないため,
000などのマイナス浮力のウキを使って,
サラシを通過するよう強制的になじませていくのが効果的です。
タナが極端に浅い場合は全層沈め釣りにならないので,
B~5Bの浮力の大きいウキを固定仕掛けにして
浅いタナにサシエをとどめると効果的です。
ぐちゃぐちゃのサラシの中でも浅いタナで
サシエをとどめることができるので,
気持ちよくウキにアタリがでます。
意外と固定仕掛けの出番は多いです。
固定仕掛けについては,以下の記事をご覧ください。
風の対処法
風で一番厄介なのは,道糸が風であおられることです。
あおられた分だけ仕掛けを引っ張ってしまうため,
ウキの馴染み(沈み)は悪くなります。
こういう場合は,風で引っ張られる分だけ
オモリを追加して仕掛けの馴染み(沈み)を
理想的な速度に調節してあげましょう。
オモリの追加方法は,
前述したバランサーでの調節,ガン玉での調節の2パターンでOKです。
爆風の対処法
磯釣りをやっていると,しばしば爆風に遭遇します。
海沿いの地域では,普段内陸部で生活している私にとっては
想像を絶するような爆風が高頻度で発生します。
まず,道糸は細い方が圧倒的に有利です。
なぜなら風を受ける面積が小さくなるからです。
風が強い日は細くできるPEラインを使うと良いでしょう。
PEラインは伸びが少なく,高切れしやすいです。
フロロカーボンのハリスを直結するのではなく,
ナイロンのショックリーダーを間に入れておきましょう。
また,ドラグも緩めに設定しておくことをオススメします。
PEラインとナイロンラインの違いについては以下の記事を参考にしてください。
ニザダイ・アイゴ・ブダイが釣れるとき
磯でのフカセ釣りをやっていると,必ず外道が釣れます。
私は,外道を釣ることもグレ釣り上達の一助となると思っています。
なぜなら,外道は海の状況を判断する材料の一つになるからです。
- ニザダイ:サンノジ,サンコ,サンジルシなど多くの地方名をもつ。グレ釣りド定番の外道。
- アイゴ:バリと呼ばれる。ヒレに毒針をもつ最もやっかいな外道の一種。
- ブダイ:イガミと呼ばれる。根についていて海藻を食べる。味は良いが,釣れるとがっかりする外道。
根に着く外道 三兄弟
これらの外道は主に根についている外道です。
私は,スピアフィッシングをやるのですが,
この中で一番,遊泳層が表層に近いのはニザダイ(サンノジ)です。
ニザダイは,中層を泳ぐことはあっても,
表層を泳ぐことはありません。
また,ブダイやアイゴが
表層や中層付近を泳いでいることを見たことがありません。
一方,グレは底付近の根についている個体もいれば,
沖の表層~中層付近を群れで泳いでいる個体もいます。
したがって,沖を遊泳するグレを狙っているときに
これらの外道が釣れるなら,
狙っている層が深すぎると断定できます。
この場合は,ウキのバランサーを外すか,
ガン玉を外すといった調整をすると
外道を回避し,グレにサシエを食わせる確率が高まります。
一方,シモリの上や磯際を狙う場合は
グレと外道の遊泳層が同じであることがあり,
一概に深すぎると結論づけることはできません。
しかし,口太グレは縦に上がってエサを取り,
反転して根に帰るという捕食動作をします。
よって,根から離れすぎない範囲で
仕掛けを浅くするとアタリがでることがあります。
エサが取られるけどアタリがでないとき
カワハギやキタマクラなどのエサ取り上手な外道がエサを取っている場合
針を塗装しているタイプの針に変えると,
カワハギやキタマクラの歯で針の塗装が剥げるので,
エサ取りの種類を推測することができます。
カワハギやキタマクラは
手前にエサ取り用の撒き餌を撒くなどして,
撒き餌ワークで分散させることを考えましょう。
居食いして針を吐き出されている場合
この場合は,食わせるタナを少しあげてやると
アタリが出やすくなる可能性があります。
よって,ガン玉やバランサーを外してゆっくり沈むように調整したり,ある程度沈んだら
仕掛けを張って待っていたりすると明確なアタリがでることがあります。
糸を送り込みすぎている場合
道糸がたるみすぎると,手元にアタリは伝わりません。
仕掛けを馴染ませていく際に,少しラインを張り気味にして仕掛けを落としていくとアタリを拾える可能性が高くなります。
アタリの取り方については以下の記事にまとめてありますので,参考にしてみてください。
エサがかじられて戻ってくるとき
このケースでは,魚が針に違和感を感じて吐き出している
可能性があります。
よって,針のサイズを落としたり,針を細軸のものに変えたりして反応を見ます。
針のサイズを落としても食わない場合,ハリスを細くします。
ハリスの交換は面倒で時間をロスするので,先に針の大きさを落として最後の手段としてハリスを落とします。
私の場合,根ズレでバラすのが嫌なので,ハリスを細いものに交換することは滅多にありません。
考え方は人それぞれですので,直感を大切にして,仕掛けの調整をしていただけたらと思います。
根掛かりするとき
明らかに沈みすぎのときに根掛かりします。
道糸を送りすぎていて,サシエから穂先までがまっすぐになっていない可能性があります。
ラインを送るときに,少し張り気味にしながら送り込んでいくと良くなると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
初心者の方は内容が複雑すぎて少し難しかったかもしれませんが,良い釣果を出すためには微調整が必要であるということはわかっていただけたと思います。
難しそうに書きましたが,実際はシンプルです。
その日の海の特徴を捉えて,一度仕掛けのセッティングに成功してしまえばずっと釣れ続けてしまうということもしばしばあります。
大切なのは直感です。
目の前の海で起こっている現象に仕掛けを合わせて,自分の仕掛けを魚の口まで届けることができればよいのです。
また,魚を掛けまくって取りまくることが大切だと思っています。
私自身もまだまだ修行中です。
魚を掛けて取り込んでいく数を増やさない限り,上達はないと思って釣行しています。
何事も「百聞は一見に如かず」,経験がすべてです。
どんどん釣行して,質の高い経験をするほど上達すると考えています。
皆さんもガンガン釣りに行って経験値を高め,厳しい状況でも魚を引きずり出せる磯釣り師になっていきましょう!
最後まで読んでいただき,ありがとうございました!
G7:ほんの少しだけ重くしたいとき,ウキの馴染み(沈み)が若干悪いとき,かなり繊細にラインメンディングしないと馴染まない(沈まない)ときなどに打つ
G6:基本の号数であり,少し重くしたいと思ったときに迷わず打つ第一手のガン玉
G5:明らかに浮いていて馴染まないとき,明確に仕掛けを重くして沈めたいときなどに打つ